カワイ出版、カワイ音楽教室で標準的に使用される子ども向けのピアノ教材。
旧版サウンドツリーと、改訂版のサウンドツリーがあり、改訂してから10年が経ちます。
主な違いはというと、旧版ではサウンドツリー3からフィンガートレーニングという指練習の副教材、サウンドツリー5からエチュードというテクニックの副教材がありましたが、改訂してからは副教材がなくなりました。サウンドツリー5A以降には副教材の代わりに教本の後ろのページにテクニックのスケールやアルペジオが載っていますが、それだけでは足りません。
旧版は小学校1年生向けにサウンドツリー1が作られていましたが、低年齢化に対応するため改訂版のサウンドツリー1Aは当時の年中さん(4歳)向けに作られており、編纂された曲も微妙に削られたり増えたりしています。
また、楽譜を編纂したカワイ音楽研究室の主要とする先生メンバーが国立音楽大学の教授を中心に改訂され作られています。メンバーが変わったりしているため、旧版とは教材の「ねらい」が違うように感じます。旧版は「そうぞうして弾こう」などし導入本から作曲もあり子どもたちの個性を伸ばす部分がありました。改訂版は同じ曲がサウンドツリー3A以降に入ってきて想像用のイメージイラストがカットされたりしています。
カワイ教材は主にサンプルとして実際に子供たちにモデル学習教材を実践して、教材を編纂していくため、試行錯誤されながら作られていくのですが、実際に使ってみて10年間で様々な問題が出ています。
当初、私が事務所所属でピアノ教室も委任講師として働いていた時に、サウンドツリーの改訂をした先生がシンポジウムで、「教材の使いにくいところ、デメリットがあったら何でも言ってください」と発言していたのですが、現場の声を拾って更なる改訂を出すのか……と思っていたら、この10年で一冊たりとも出てきませんでした。
そして、サウンドツリー1Aから1B、2newの導入編三分冊は、それぞれ年中・年長・小1向けとして使ってくださいとの事でしたが、使ってみると個人の能力差によっては導入にしてはやたらと導入部分が短く、旧版の1と比べると楽譜の5線の音を読むことがとても大変な教材になったと思います。
ミドルCから右手はドレミファソ、左手ドシラソファと読むのは改訂してから良いのですが、とにかく音符が年齢に対して小さく書かれていて、付属のノートも小さいので4歳の子たちが音符を描くのが非常に難しい。
よほど、発達が早い子じゃないと、あんな小さな〇を描くのは難しい。
また両手奏に入るスピードが尋常じゃなく早い。
これも余程、指の発達が早い子じゃないと、うまく両手奏を弾き切ることが出来ない。
確かに、1年かけて教材を進めれば良いのだが、4歳児に1ヶ月も2か月も同じ曲を弾き続けることはないし、飽きるので次の曲をやりたい。
指導所にはアレンジしたり、手遊び歌をしたり、リトミックをしましょうというアイデアも載っていますが、本気でそれをやるなら、今の4歳児がどういう生活をしているか、どういう発達の仕方をしているのかを研究してから教材にしてほしかったな……というのが一講師で母でもある私の思い。
正直、改訂版サウンドツリーは「身につかない技術の押し付け」教材だと思っています。かなり毒舌ですが、技術を補うために、私は自分の生徒に別の教材を増やしています。だってサウンドツリーだけじゃピアノは上達しないから。別の良い教材を使っていかないと、グレードテストやコンクール、発表会で演奏するのは厳しい。
CDあるんですよね、今の子どもたちはCDを見ると必ず「DVD?」って聞くぐらい、映像として音楽を聴きます。
YouTubeで動画で演奏が見て聴ける時代ですから、音だけを真剣に聞くんじゃないんです。
だから演奏動画の方が今の子たちは参考になるので、私の教室に来ている子たちはCDを耳にしてくるけど、演奏としての弾き方は私が弾いているのを本当に手元がっつり見てたり、「動画撮っていいですか?」って聞かれたりするぐらい、視覚要素が多い。
それこそ20年前は、スラーやスタッカートが書かれたインベンションやソナタアルバムより、何も書いていない原典版やカワイ出版の楽譜は重宝しましたが、それは本当にピアノを勉強した人が改めて研究するには向いていたり、新しい解釈に繋がって良いけど、今の子どもたちにはそぐわない。
時代が変わるのと同じで教材もどんどん良いものに進化し続けなければ意味がないよね。
実際、10年前の子どもたちと令和の子どもたちでは成長・発達の仕方がかなり変わっています。端的に言えば個人差がとても大きく、3歳までの経験がどれだけあるかで変わっています。特に指の力は顕著になってきており、指の力が弱いお子さんが増えてきました。
小学校では三角軸の鉛筆を推奨して菰野町だと一斉購入させられますが、鉛筆を正しく持っている生徒は数が少ないです。はさみだって持ち方を大人が間違って使っています。物が良ければ勝手に覚えるということはなく、使い方もしっかり覚えないと意味がありません。
サウンドツリーは10年前の子には良かったかもしれないけど、令和の子には向かないと感じます。
ということで、竹成音楽教室ではサウンドツリーシリーズは希望者のみ使用にして、現在はピアノアドベンチャーや、遠藤蓉子さん作ったサーベル社のピアノ教本を主に使っています。教具もこれは便利そうと思ったものは市販のものを使ってアレンジしています。
カワイ音楽教室から転入予定の生徒さんは、サウンドツリー以外も選べますので参考にしてくださいね。
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