先日、ある生徒さんとレッスンをしていると「パステルで描こう」という曲を課題にしていて、パステルが画材であることを説明すると「知ってるよー」と教えてくれました。
パステルカラーのように色味の事を想像しがちですが、画材だという事実はあまり知られていません。その子は小2の子で、毎回驚くほど大人びた知識や言葉遣いをしています。
一般的には頭の良い子というイメージだと思いますが、実はこの生徒ちゃんは、とても支援が必要な子です。
「よく知ってるね」と言うと「私ね、絵画教室に行ったことあるの。でも、一回でやめちゃった。理由は私が怒っちゃって、先生も怒って教えませんって言われた。だからね、ピアノにしたの」と一気にしゃべってくれました。
ピアノのレッスン中にもうまくいかなかったり、思い通りにならないと癇癪を起こして泣き叫んだり、プチパニックになることがあります。
診断はついていませんが、私が見ている限りではASDの積極奇異型やアスペルガー症候群、高機能自閉症と呼ばれるタイプに近いかなと思っています。
本人も自分がしたことを後悔したり、気持ちと行動・言葉がうまく連動しなくて辛い所があるとわかっているようですが、支援が行き届いていません。
このタイプの子たちは普通学級に一定数いて、支援級に行く必要性がないと判断される場合もあり、グレーゾーンの一つです。個人的にはこういう子への支援をもっと拡充してあげて欲しい。
保育園の加配の先生がつくように小学校にも加配の支援があるとありがたいのにとも思います。
おそらく絵画教室の先生はこの生徒さんを見て吃驚したかもしれませんね。
画材について質問したり触ったり、指示と違うことをされては特にグループレッスンだと大変だと思います。絵画教室で個人レッスンの所はほとんどないので仕方ないでしょう。
この生徒さんがピアノレッスンに最初に来た時も、すぐに支援が必要なタイプだと見抜きました。
竹成音楽教室だと発達不安がある子には教材のレベルを落としたりするのですが、すごく賢いし感性も豊かだったので、通常教材でスタートしました。進みは本人任せなので早い時もあれば、ゆっくりな時もありましたが、最近はペースを掴んで少しずつ頑張っています。
それでも曲が難しくて弾けないときや、一回で〇にならないと癇癪を起こしています。
この癇癪に負けて甘やかしてしまうと、ますます今後の癇癪が酷くなるので、レッスン中の先生には癇癪は通用しないと理解してもらうために格闘しています。
癇癪も手に負えないわけではなく、数分すると落ち着いて思考を整理します。ところが、保護者や支援者はすぐに落ち着く癇癪だから「問題ない」と思ってしまうんですね。
これが、すごく厄介なことで、本人は「自分が癇癪を起こして周りが困っている。仕方ないから落ち着こう」と我慢してフラストレーションが溜まる状態が続きます。
でも本人は癇癪を起こしてしまう自分に困っている、制御できない思いや言葉による暴言を言ってしまう。本心はそうじゃないのに。。。心のケアが必要な状態です。
大人でも煮詰まったら、違うことを思い切りして気を落ち着かせようとするように、それが癇癪に現れる。でも思い切り癇癪できないから余計にパニックになったりストレスが溜まってしまいます。
私もストレスがたまると思い切り物をぶっ壊したくなるのですが、そこは出来ないのでピアノでガンガンにffの曲を弾くとか暗いジメジメした曲を弾くことにしています。
最近、その子は弾けるようになった曲を早弾きしたり、耳コピーで覚えた曲を披露してくれています。
絵を描くのも好きなので、レッスンの最後に絵を描いたりしています。絵画教室の先生が理解ある先生だったら、絵を描くのも良いのになぁと……と時々思います。
学校などで支援級はありますが、習い事関連で支援が必要な生徒のための教室がとても少ないので、そういった教室が増えると良いのになぁ。
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