あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします

さて、昔流行った音楽のタイトルみたいな並べ方で新年の話をします(わかる人は30代以上かも)

レッスンに来る理由は様々ですが、本人が習いたいという気持ちを大事にしている当教室では、大半の子が意欲に満ち溢れています。
ですが、練習をしていくと理想のピアノ演奏とはかけ離れた現実を知って、残念ながら辞める選択をすることも往々にしてあります。
前から述べていますが、ピアノの練習というのは孤独で苦行のような繰り返し練習で、「まぁいいか」というズボラな部分があると上達はしません。これは性格との相性もあると思いますので、「出来るまで頑張る」「出来るためにどうすれば良いか考える」「諦めない」といった要素を持っていないと、ピアノは向いていないと思います。

よく子どもは音楽が好きだから、どんな子どもでもピアノを楽しく学べる教室を目指すと謳う教室・講師がいらっしゃいますが、私は理想論だと思っています。
現実にピアノ習ってみたけど、指番号通り弾くのが嫌、強弱守るの嫌、音読むのが面倒くさい、何で同じ速さで弾く事を求められるのか……などなど多数の困難にぶち当たる都度、「出来るようになったら嬉しいでしょ?」という押し付けがましい指導に疲弊している子もいます。
実際、音読むのって面倒くさいですし音名が書いてあって、何拍伸ばすか書いてあって、強弱も日本語で書いてあったら、理解できるのに……という生徒は沢山います。
楽譜を読むことは外国語を読む事と同じだと思っているので、講師は何度も赤ペンで注意書きをします。

ところが、最近の子どもたちの日本語の読解能力は著しく落ちています。
当教室で使っているピアノアドベンチャー教材は割と日本語でしっかりと書いてくれていますが、そのアドバイスすら正確に読み解けない子が多いです。
大事なところを赤字にしていてもです。おそらく現代っ子は動画が主流なので、これがピカピカ光っていたら目に入るのでしょうが、文字を認識して理解する能力が本当に低いです。
これは子どもに限ったことではなく、親世代も同じだと思っています。
例えば、教室の体験レッスンの申し込み問い合わせについても、再三書いてある注意書きを全く読まずに問い合わせてくる人、メールを送っても返信してこない人は十中八九、親の読解能力も低いです。

残念なことに、子どもの地頭力は50%遺伝します。医者の子どもが医者であるように、考える力が低い親から地頭の良い子どもが生まれてくる確率は低く、環境で何とかするしかないですが、考える力が低い親が良い環境を与えられるかというと、その成功率はかなり低いでしょう。
良い環境というのは子どもに習い事を沢山させたり、先取り学習をさせたり、私立幼稚園に通園させることではありません。
ここでいう良い環境は子どもがとことん物事を突き詰めて疑問を解消し、自ら考えて答えを出せる環境のことです。
我が家の例でいえば数字に興味を持ったときに、時計・定規・単位・温度・角度・重さ・速さ・カレンダー・さいころ・お金など、ありとあらゆる数字が書かれたものについて意味や体験、自分で作ったり、測ったりが出来る環境にしました。
特に触ることに関して重視したのですが、普通の親は触らせないことが多いですよね。
うさぎやオウムのご飯を0.1g単位で量るスケールを使って手伝ったり、物の大きさが何センチなのかメジャーで測ったり、さいころの展開図を書いて作成したり、直接触れないけれど車で高速道路を走れば時速何キロが体感として遅いか早いか・安全かどうかも見ています。
もちろん子どもが飽きない性格というのもありますが、覚えたものを使える環境、試せる環境にしてあげることで学びが深まり新たな疑問を持ち、解消する術を考える力が養われます。

ピアノレッスンでも講師から言われたことを忠実に守るだけでなく、「何でここはこうなの?」という疑問を持つ子や、楽譜があれば何でもとりあえず「すぐに読んで弾く」という試す能力を持っている子はとても理解力があり、地頭が良い子なんでしょう。宿題に出した曲以外もどんどん自分で進めて弾いてみたり自分で作曲をして楽譜に書くこともあります。
地頭がよくない子はまず否定から入るので、課題を出せば「無理」「難しい」から入り楽譜を読むことすらやってくれません。こういう場合、ハードルを下げてスモールステップで進めましょうというのがセオリーですが、正直本人のやる気がない場合無理だと思っています。

理想として弾きたい曲はある。
だが現実として、練習が嫌。楽して弾けるようになりたい。
大人の感覚で言えば、お金持ちに楽してなりたいって言ってるようなものです。現実に出来ると思いますか? 現実を受け止めて自分に出来る仕事をコツコツやるか、ドロップアウトしてニートになるかです。
子どものピアノレッスンであれば、嫌な練習をやるか、レッスンを辞めるかです。嫌な練習を続けたところで得られるものって何でしょう? 仕事ならお金という報酬があり同じ分量レベルの仕事を続けますが、ピアノだと曲が弾けたらステップアップしてしまう。
だからこそ辞めるという選択肢はありですし、向いてないと見切りをつけることも重要です。
ピアノ講師なら辞めさせずに続けさせる努力しろよとか、指導力不足じゃないかと言われますが、ピアノが弾けなくても何も生活に困らないですよねと言いたいです。スポーツにしても、習字にしても生活に困ることありますか?
それより大事なのは、人とのコミュニケーションだったり、大人になって社会へ出ることです。

ピアノを習えば頭が良くなるとか、思考力がつくとか、集中力がつくなどメリットもありますが。
ピアノ以外の習い事でも養われる能力であるし、ご家庭で作れる環境もあります。
ピアノは子どもたちの非認知能力を養う手段ではあるけど、絶対とは限らないです。
最も、ピアノで頭を良くしたいと思うなら、電子ピアノなんて言語道断で、グランドピアノに防音室、日ごろから生演奏を聴き、体験として様々な本物を見て触れること、表現できる環境がなければよくなりません。
子どもの意欲に対して、親として与えてあげられる環境があるか、そして理想と現実を受け止めることができるかが課題だと考えています。

ここ最近、親の意欲と理想だけで体験レッスンを申し込まれることが多いので、辛口で意見として述べてみました。当教室はお金儲けのためにレッスンを提供しているわけではないので、こんな辛口意見も言いますし、おかげ様で生徒不足に困っていることもありません。
しっかりとお子様と向き合っている保護者さんと信頼できる環境を提供し、レッスンを通じて生活が豊かになれば幸いです。
2025年はヘビ年、長く永く、なが~~~~く、ピアノレッスンが続きますように。